ここでは、シエナの歴史を紐解いていきましょう。
シエナの歴史は古く、現代においてもはきりとした起源わかっていませんが、古代ローマ時代には人が住んでいたといことは確かだと言われています。※古代ローマ時代 AC753年~BC476年までのおよそ1300年間
紀元前29年には、『サエナ・ユリア』 SAENA JULIAという軍事植民地だったとも言われています。
500年代、シエナは北のロンバルディアやフランスによって統治されていました。そのため、ローマを目指して南下するための安全な経由地として機能するようになり、次第に町は豊かになります。
シエナ国では国内での貴族と市民の戦いの他、最大の敵であったフィレンツェと領土拡大のため紛争を起こしていました。
1260年モンタペルティの戦いにてフィレンツェに大勝を収めるも、その9年後のコッラ・ベル・デルサの戦いにて敗北。この敗戦を
機にシエナでは皇帝派の政府が倒れ、フィレンツェとの関係を取り戻したのです。
その後、町はより豊かになり、芸術作品や美しい宮殿、教会などで飾られるようになりました。
そして、シエナの銀行家はヨーロッパで最も有力な王族たちや教皇との取引が行われるようになり、ますます町は盛んになっていきました。
ローマよりも人口が多い時期もありましたが、1348年にペストが流行したことが原因で住民の大半が亡くなりました。
人口が減ったことで、ヨーロッパの金融の中心地としての機能を失いましたが、1472年には銀行モンテ・デイ・パスキ・デイ・シエナが設立。
モンテ・デイ・パスキ・デイ・シエナは現在もあり、イタリアの5本の指に入る銀行です。日本でいえば室町幕府の時代から延々と続いている銀行ということになります。
16世紀中頃までシエナはシエナ共和国であり、誇り高き独立国だったのです。
その後、フィレンツェの国土となってしましますが、芸術・文化の街としての特徴は今日も保たれています。
例えば、シエナでは中世時代からつかわれている「町の地下を通す」方法で、現在も町の噴水まで水道管を通していたり、光フィ
ーバーを各家庭につなげています。
シエナの町はゴジック様式で構造されています。
歴史的中心地全体がユネスコの世界遺産に登録されていて、建築物、街路、広場、芸術作品と昔から何一つ変わっていないです。
シエナの人々の600年前の暮らしが分かるフレスコ画をみれば、シエナ人の暮し方が変わっていないことがすぐにご存じいただけるかと思います。
最も有名な貝殻型をした広場、カンポ広場(Piazza del campo)、そして、その目の前にある、現在の市役所であるプッブリコ宮殿(Palazzo Pubblico)、大聖堂のあるドゥオーモ広場(Piazza del duomo)です。
プッブリコ宮殿が建てられたのは1200年代末中央庁舎として、町の統治のために作られました。
現在では市役所として使われています。
宮殿の中には「良い政治の結果と悪い政治の結果」が書かれている画が壁いっぱいに描かれており、当時のシエナの権力者は
この画をみながら、「良い政治とは何か」を考えていたといわれています。
また、建物の二階は美術館になっており、シモーネ・マルティーニの「王座の聖母子」(1315-1321)や、ユネスコの世界平和のシンボルである白い服に包まれた女性を描いた、アンブロージョ・ロレンテツェッティの「善政」(1337-1339)など有名な作品が収められています。また、プッブリコ宮殿から、シエナの町が一望できるマンジャの塔に上ることも可能です。
イタリア語でドゥオーモと呼ばれる大聖堂。ドォーモの内部は、美しいステンドグラスで飾られており、イタリアで最も偉大な彫刻家たちの作品が保存されいます。
例えば、ジャンニ・ピサーノ、ドナテッロ、ミケランジェロなどがあります。
8月から10月にかけて聖書の場面や登場人物を描いた56のパネルでできた大理石のはめ込みの床が開かれています。
また大聖堂の近くには美術館や博物館もあります。この博物館は、元々1000年代初頭に建てられた西洋で最も古い病院の一つ。
ローマを目指し、徒歩で旅をする巡礼者たちはここにて治療されていたといわれています。
ほかにも、現代アートのある国際的に有名なパペッセ美術館や、子供にも芸術の良さを分かってもらうための「子供のための美術
館」などもあります。
シエナのいま
シエナのビッグイベントといえば、毎年夏に二回行われる競馬「パリオ」ですが、その他にもキジャーナ音楽院のコンサートとシエナ・ジャズもおすすめ。
音楽イベントとして最も大きなイベントといえば「チッタ・アロマティカ」。世界遺産であるカンポ広場にて、様々な歌手、アーティストが一体となり、世界平和を伝えていこうというもの。
日本企業の日産の後援も得てイベントを支えています。
さらに、芸術の街でスポーツをする新しいイベント、都市トレッキングも新たに構想し、新鮮な空気を吸いながら歴史的建造物
や美しいパノラマ、険しい上り下りの坂道を進むというものです。
2004年10月3日に第一回の都市トレッキング国内大会を開催しました。
また、これからは国内にとどまらず、ヨーロッパの町へもこの企画を広げていく予定だそう。
そして、夏季にはいくつかの美術館は夜も開いており、夜の美術館を見学しながらの都市トレッキングも企画中とのことです。
シエナでのおすすめ特産品といえば、シエナの豚を使ったサラミ類。
また伝統料理でいえば臓物のクロスティーに、インゲン豆のスープ、野ウサギのソースをつかった太麺スパゲッティ、鶏肉や鳩肉
のロースト、そしてシエナの高級牛キアニーナ肉などがあります。
また、デザートといえば、アーモンド生地、香辛料、砂糖漬けの果物でつくるクッキー「リッチャレッリ」、元々は貴族のデザートとし
て作られた「パンフォルテ」、はちみつとアーモンドが使われた「カヴァッルッチ」などがあります。
どれもかつてはクリスチャンにとって一年で最も大切な日クリスマスに食べるお菓子だったのですが、今では一年中売られていま
す。町中ではほかにもシエナの伝統的なお菓子が代々受け継がれてきたレシピで作られ、販売されています。
町には今でも古い技術に基づきながら高品質の品物を製造していて、金細工師、家具職人、織物屋、仕立て屋、ガラスの工房な
どがあり、自分だけの製品ができあがるのを目のあたりにすることができます。
シエナ市では町の文化の一部を成すこれらの伝統的な職業を保護活動を実施し、またシエナの公に活動をしている全職人を案
内したシエナの地図をつくるなど、手工業職人のための宣伝活動も行っています