ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナは、子牛または未経産牛の骨付きステーキでトスカーナを代表する料理の1つです。
炭火またはグリルで調理され、レア(アル・サングエ)で焼かれます。
伝統的には、キアニーナというブランド牛の子牛の肩ロース(脊髄の腰の部分、尻尾から背中の部分)を使用します。
Tボーンステーキというように、ステーキに付随する骨はアルファベットのTの形をしていて、その両側に肉があります。片方はフィレ肉(テンダーロイン)、もう片方はサーロインです。
背肉、腰肉にかけてのあばら骨の外側の肉をロース(ロイン)と呼びますが、牛の場合はサーロインといいます。(英国の王がその美味しさに、サー(Sir)の称号を授けたという)
そして、そのあばら骨の内側でおおわれてあるのが牛フィレ肉です。牛フィレ肉のことを英語で(テンダーロイン)と言います。テンダーとは柔らかいとか優しいの意味でまさに柔らかいロインです。この肉は筋肉の活動をほぼしていないため柔らかいのだそうです。
ビステッカの肉は指3本から4本分はあろうかという厚さでカットされていて、さらに脂身がない赤身の肉なのでしつこくなく、肉の旨みを十分に体感できます。
味付けはシンプルに塩とオリーヴオイル。レストランでは、100グラム当たりの価格(5〜8ユーロ)でメニューに表示されていて、骨の重さも含めおよそ800〜1,4kgほどが相場となります。(1人で注文することはまずないでしょう。)
中世のフィレンツェ、メディチ家の統治していた時代に8月10日のサン・ロレンツォの祭りで大いに振舞われたとされるキアニーナ牛のステーキ。イギリスの騎士がその肉をビーフステーキと呼んだところから『ビステッカ』という言葉が生まれたとされています。
フィレンツェ風とはいえ、トスカーナ州であれば他の町でもリストランテで見かけるのは難しくありません。現代では、純キアニーナ牛のビステッカだけでなく、通常の牛のビステッカがビステッカ・アッラ・フィオレンティーナとしてリストランテでよく提供されています。