ここでは、パリオのメインイベントである競馬レースのルールについてご案内します。
パリオのレースに出走できるコントラーダは、10地区のみです。すなわち10頭立てのレースで、土の敷き詰められたカンポ広場を3周(約1000m)します。通常の競馬と大きく違う点として、二着以下の定義がありません。一着の地区が優勝となり、それ以外は敗退となります。
また騎手が万が一落馬した場合でも、馬が一着でゴールさえすればその地区の優勝となります。
※1993年8月、ドラゴ地区が騎手落馬も優勝。
17地区のうち、前年度に出走しなかった7地区は優先的に出走権を得ることができます。(7月と8月はそれぞれ独立したパリオとなります。)
そして、残りの3枠に関しては前年度出走した10地区から抽選で選ばれます。
運が良いコントラーダは7月、8月ともに出走することもありますが、そのコントラーダは翌年2回とも出走権を失います。
パリオの競馬レースは、伝統をモットーとしたルールを多く抱えるため、現代の競馬とはかけ離れたとても危険なレースとなります。各々のコントラーダの伝統騎乗衣に身を包んだ10人の選ばれし騎手たちは、ズッキーノと呼ばれるヘルメットをかぶり、鞍のない裸馬に騎乗します。つまり騎手たちは手綱のみでバランスをとらなければならず、落馬しないために大変高度の技術を必要とします。また、レースでは対抗馬の騎手や馬への妨害が認められているため、ときには牛の皮であしらわれた鞭を使って相手を威嚇、妨害したり、レース中にタックルまがいのことも行われるのです。
スタート地点では、現代競馬のような発走ゲートは使用しません。麻縄で前後に2つのラインを作り、その間に出走馬のうち9頭を抽選順に並ばせます。競走馬前方の縄は、専用の機械によりスターターの合図と同時に地面に落下するようになっています。
残りの1頭が助走距離を取った約10m後方の大外に位置取り、スタートのタイミングを計ります。この1頭が2つの麻縄の間に入った瞬間に、スターターは合図を送り、全頭が発走するしくみになっています。
タイミングが合わず、フライングした場合は爆竹を鳴らし競争無効とし、また競走馬の整列からやり直しとなります。